建物仕様・構造
RC造45階建・1,247戸の大規模タワー。構造、エレベーター、防災、セキュリティ、住戸仕様を徹底解説します。
地上階数
総戸数
解説項目
鉄筋コンクリート造
建物構造
森ビル開発の超高層ツインレジデンス、A棟は2023年・B棟は2025年竣工
基本構造
構造:鉄筋コンクリート造(RC造)・一部鉄骨造(S造)
耐震方式:制震構造(ダンパー併用)
事業主:森ビル株式会社
施工:清水建設・大林組JV(プロジェクト全体)
設計:Pelli Clarke & Partners(B棟)、Heatherwick Studio(低層部)、Sou Fujimoto Architects(広場)
用途:レジデンスA=賃貸、レジデンスB=分譲
所在地:東京都港区麻布台1-2-1(A)/1-1-1(B)
敷地面積:約8.1ヘクタール(麻布台ヒルズ全体)
| 項目 | レジデンスA | レジデンスB |
|---|---|---|
| 階数 | 地上53階・地下5階 | 地上64階・地下5階 |
| 高さ | 約220m | 約263m(日本一の住宅タワー) |
| 竣工 | 2023年 | 2025年 |
| 総戸数 | 約320戸 | 970戸 |
| 主用途 | 賃貸住宅+ジャヌ東京 | 分譲住宅 |
| 主要間取り | 1LDK〜4LDK(55〜250㎡) | 1LDK〜5LDK(53〜620㎡) |
制震ダンパー設計のポイント:レジデンスB(地上263m)は、大型地震・強風時の長周期振動に対応するため、上層部に制震ダンパーを集中配置。一般的な揺れだけでなく、超高層特有の「長周期揺れ」に効果が高い設計です。住宅としては国内屈指の規模となるため、構造計算は通常の超高層基準より厳格な「特定建築物」扱いで設計されています。
エレベーター
64階建てB棟のエレベーター混雑実態と工夫
レジデンスB(64階・970戸)のエレベーター構成
住居用エレベーター:高層用・中層用・低層用に分離
定員:17〜24名/基
速度:最高分速720m(業界最速級)
運転制御:ダブルデッキ+宛先階自動分配(DCS)
非常用:別系統で複数基
サービス用:荷物・引越し用を別系統で確保
停電対応:非常用発電による継続運転
地震時:自動最寄り階停止+点検モード
エレベーター待ち時間の実態
970戸という大規模戸数のため、平日朝7:30〜8:30と日曜夕方は混雑します。特に低層階は途中停止が増えやすく、ピーク時は1〜2分程度待つ場面も。ただしB棟はDCSシステム(行先階の自動振り分け)で停止回数を最小化しており、白金ザ・スカイ等の従来型タワマンよりは効率的との声が多いです。
ピーク回避のコツ:8:30〜9:30に時間をずらす、日曜夕方の入庫タイミングを避ける、引越し業者に「サービス用エレベーター」を確実に予約してもらう。
高層階(45F〜64F)
専用エレベーターで途中停止が少なく、最も快適。地上から最高層まで約60秒。
中層階(25F〜44F)
中層用と一部高層用で対応。最も戸数が多いゾーンのため、朝のピークは混みやすい。
低層階(6F〜24F)
低層用で途中停止しやすいが、階段併用が現実的な選択肢に。
セキュリティ
24時間有人管理+多重オートロック+顔認証
セキュリティ体制
- ●24時間有人管理:レジデンスA・Bともにフロントに常駐スタッフ。深夜帯も警備員が館内巡回。
- ●多重オートロック:エントランス → エレベーターホール → 住居階廊下の3段階で、入居者以外は住戸前まで到達不可。
- ●顔認証システム:登録した顔データで非接触入館。鍵を出さずに通過可能。
- ●来訪者対応:住戸インターホンで顔・声確認後、フロントから解錠オペレーション。代理受け取りもフロントが対応。
- ●監視カメラ:共用部・駐車場・エレベーター内まで多数設置。録画は管理会社で保存。
- ●緊急通報:住戸内に専用ボタン。フロント&警備会社(ALSOK/セコム提携)に直結。
高評価ポイント
- 森ビル直営による一体管理体制
- 顔認証による「鍵なし入館」の利便性
- 港区屈指の警備密度
- 有事の動線計画(地下シェルター等)が明確
注意点
- 顔認証データは入退去時に登録・抹消が必要
- ペット同行時はエレベーター制限あり
- 引越業者は事前許可制で時間枠あり
- 大型イベント開催時の臨時動線変更
防災設備
長周期地震動・水害・火災への多層防御
地震対策
制震構造:高層階に油圧ダンパー集中配置。長周期振動を約30〜40%軽減。
耐震性能:建築基準法を超える「重要度係数1.25」で設計。
免震/制震判別:免震装置は採用せず、最新の制震+高靭性構造で高層タワーに最適化。
家具固定推奨:それでも長周期揺れによる家具転倒リスクはあるため、転倒防止器具の使用を推奨。
火災・水害対策
- ●スプリンクラー:全住戸完備。共用部にも消火設備を多重配置。
- ●非常用発電機:72時間以上の自立運転が可能。エレベーター・エントランス・コンシェルジュ機能を維持。
- ●防災備蓄倉庫:館内に共用備蓄庫。非常食・水・簡易トイレ・毛布を保管。
- ●水害対策:地下5階構造ながら、地下機械室は浸水対策の高耐水ドア+防潮版を装備。
- ●避難経路:階段は2系統以上。屋上ヘリポートを緊急時には人命救助用に使用可。
麻布台ヒルズ全体の地下シェルター構想
麻布台ヒルズには敷地全体で2,500人以上が一時避難可能な共用空間(地下広場・商業施設の地下階等)が整備されています。レジデンスA・B入居者は災害時、敷地内の各避難スペースが利用可能。森ビルが定期的に避難訓練を実施しています。
住戸基本仕様
天井高2,700mm〜・複層Low-Eガラス・床暖房標準装備
住戸の基本グレード
天井高:標準2,700mm/プレミアム住戸2,900mm/最上層スカイレジデンス3,000mm超
窓:床から天井までのフルハイト窓、複層Low-E遮熱ガラス
床:無垢材フローリング(高層階)/高耐久複合フローリング(中層以下)
床暖房:リビング・ダイニング標準装備(温水式)
キッチン:ガゲナウ製(B棟プレミアム)/ボッシュ製(A棟・B棟標準)
バスルーム:TOTOネオレストシリーズ・ミストサウナ機能(一部住戸)
クローゼット:ウォークインクローゼット標準・主寝室は2WIC構成
玄関:石貼りエントランスホール、シューズインクローク
| グレード | 該当階 | 主な仕様 |
|---|---|---|
| スカイレジデンス | B棟55F〜64F | 天井高3m超、フルバトラー、専用エレベーター、内装フルカスタム可 |
| プレミアム | B棟35F〜54F | 天井高2,900mm、ガゲナウキッチン、大理石バスルーム |
| スタンダード | A棟全階/B棟6F〜34F | 天井高2,700mm、ボッシュキッチン、無垢/複合フロア |
設備インフラ
全戸光ファイバー直結・大容量電気容量・地域冷暖房
通信・ネットワーク
- ● 全戸光ファイバー直結(NTT東日本/KDDI/Softbank対応)
- ● 共用部Wi-Fi(ロビー、ラウンジ、ガーデン)
- ● 各戸LAN配線標準(5GHz Wi-Fi対応)
- ● 衛星放送(BS/CS/4K8K)対応
電気・ガス・水道
- ● 単相3線式・契約60Aまで標準対応
- ● IH/ガス選択可(住戸タイプによる)
- ● 浄水器・軟水化装置(プレミアム住戸)
- ● 床暖房・浴室暖房乾燥機標準
地域冷暖房システム(DHC)
麻布台ヒルズ全体で導入されている大規模地域冷暖房システムにより、各戸の空調エネルギー効率が一般的なタワマンより15〜20%優れています。冷温水を中央プラントから配管供給するため、各戸の室外機が不要・騒音ゼロ・メンテナンス負荷も最小です。月額の冷暖房費は東京電力の電気料金より割安になるケースが多いです。
EV充電器
駐車場の一部区画にEV充電設備を設置。専用アプリで予約・課金。
スマートホーム
B棟プレミアム住戸はLutron制御による照明・空調・ブラインドの一括制御。
宅配ボックス
大型・冷蔵対応の高機能ロッカー。スマホアプリで受け取り通知。
外装・デザイン
ペリ・クラーク・パートナーズの曲線美と植物的低層部
建築デザイン
レジデンスBは、ニューヨークの高層建築で著名なペリ・クラーク・パートナーズが設計を担当。緩やかに曲線を描く外観は、隣接する麻布台ヒルズ・森JPタワーや低層部のヘザウィック・スタジオによる植物的な「Garden Plaza」と呼応するように設計されています。日中は鏡面ガラスが空を映し込み、夜間はファサード照明により都市の夜景に柔らかく浮かび上がります。
レジデンスAも同じ建築言語を踏襲しつつ、より落ち着いた色調のタイル外装で「邸宅性」を演出。ジャヌ東京(ホテル兼ウェルネス)が3〜5階に入る関係で、低層部は緑豊かな植栽と照明計画でホテルライクな雰囲気を実現しています。
トーマス・ヘザウィックによる低層部
麻布台ヒルズ全体の低層部は、英国の建築家トーマス・ヘザウィックが「都市の中の自然」をテーマに設計。植物のような有機的な屋根曲線と、白い金属ラチスのパーゴラが特徴です。レジデンス入居者はこの広大な「Garden Plaza」を日常的に利用できます。
藤本壮介による中央広場
敷地中央の「Central Square」は世界的建築家・藤本壮介が手掛けたパビリオン。果樹園・ハーブ畑・季節の花々を配した「食べられる景観」がコンセプトで、ブルーベリーやレモンが実をつけるなど、五感で都市と自然のつながりを感じる設計。
世界的に評価された建築群:麻布台ヒルズはCTBUH(高層建築専門委員会)等から複数の建築賞にノミネート。レジデンスBは2025年時点で「日本一高い住宅」として世界的にも注目されています。住戸価値は単なる立地・仕様だけでなく、こうした建築的価値も含めて評価されています。